思春期に気にしやすいこと

思春期は肉体的にも精神的にもめざましく移り変わるときなので、個人差が大きいのです。
だから、ある時期には自分がほかの人とくらべて背ばっかり高くていやだったり、
自分ばっかり太ってしまっていたり、とくにバストの悩みと月経の悩みは深刻です。

 女性の美の象徴ともいわれる乳房は、異性を意識しはじめる思春期の女性のいちばん気になるところです。

思春期に入ると卵胞刺激ホルモンの作用によって卵巣では卵胞の発育が始まり、エストロゲンの分泌が増加し、
プロラクチン、インスリン、成長ホルモンなどが共同作用して乳管の発育・枝分かれがおこります。

排卵周期が確立するとプロゲステロン、エストロゲン、プロラクチン、インスリン、副腎ホルモン、
成長ホルモンなどが腺房の発育と分化を促し、乳房は完成するのです。

プロゲステロンやエストロゲンにより脂肪の蓄積もおこるので乳房は大きくなってきます。
ターナーは、乳房の発達を五段階に分類しています。

 思春期以後になっても乳房の発育が不良の場合、原因としては第一に間脳-下垂体-卵巣系の機能不全により
卵巣からのエストロゲンやプロゲステロンの分泌が不足しているものが考えられます。

第二に卵巣機能は正常な のに乳腺のホルモンに対する感受性が低いため発育しないものがあります。
また、乳房発 達は家系的なものも大きく関係しています。

 治療としては、卵巣機能不全の場合はエストロゲンとプロゲステロンを交互に投与してみます。
ホルモンへの感受性が低下している 場合は体操などで大胸筋の発達を促し、乳房を大きく見せるよう努力します。

 バストが小さいからといじけずに背筋を伸ばし胸をはって姿勢をよくすると血液循環がよくなり、乳房の発達を促します。
若いうちから、見た目だけのために美容外科での形成手術を考える必要はありません。

 月経の問題は特別です。一六歳ぐらいになっても初潮がみられなかったり、二〇歳を過ぎているのに月経が規則正しくこない場合は
要注意です。

少なくとも二週間の基礎体温表をつけて産婦人科をおとずれましょう。
病院によっては、そのような人のために思春期外来を開いて、診察・相談にのってくれるところがあります。
デリケートなこころと未熟なからだをやさしく、ていねいにとり扱って診察してくれます。
恥ずかしがって治療の時期を逃してはいけません。