思春期

 思春期とは、まだ青いリンゴと同じです。
大きさはもう十分に大きく実ったけれど、食べてみるとまだスッパイ、
でもちょっぴり甘い、そんな時期が人間にもあります。

 やせっぽちで、男の子か女の子かわからないくらい活発でおてんばな少女は、
ふっくらと曲線美をもった魅力的な乙女となり、やがて初潮を経験して、
しっとりとした一人前の女性になります。

 このころ、ボーイーソプラノのかわいい少年は、筋骨たくましい低音の、
ニキビだらけでひげづらの青年となります。

 女も男も人生のうちでこれほど劇的な変化を体験する時期は、ほかの年代にはありません。
昆虫でいえば、さなぎから脱皮して成虫になる時期でしょう。

 このドラマチックな肉体的変化は、思想的にも行動力にも影響を与え、
社会的にも多くの問題を投げかけることがあるのです。

 この重要で特別な時期を思春期といいます。
 思春期は、女子では多少の個人差はあっても、はやくて八歳ぐらいから、
おそくても一六歳までには始まらないと困ります。

 思春期は、ホルモンの状態とからだの変化に合わせて、次
の三つの時期に大きく分けて考えられます。

 ①思春期前期②思春期中期③思春期後期