老年期の精神的変化

 老年期前期に入ると、更年期にみられた葛藤は平静をとり戻し、
あるがままの姿を自分なりに落ち着いて観察できるようになります。

 老年期後期になると古きものへ執着し、新しいものへの意欲は薄れ、新しく得た知識を
大脳に記憶する能力が低下します。
さっきいったこと、きのう今日起こったことを忘れてしまう反面、何十年も昔のことを繰り返し、
思い出して口にします。

 人によっては大脳皮質の抑制がとれて、食欲、性欲などが、むきだしに表現されることがあり、
周囲から誤解を招くこともあります。

 セックスはもちろん可能ですが、男性のように70歳になっても造精機能を有し、
勃起力をも保持して妊娠させるのが可能であるのとは異なり、女性はもはや妊娠はしません。

腟が乾燥ぎみとなるため、若いころのように快感を得るのは無理でしょう。
 けれども、そこでセックスをやめることはありません。むしろ妊娠へのおそれもなくなり、
ほんとうの意味でセックス・ライフを楽しむことができると喜んでいる女性もいるのです。

 一方では、若さ時代をともに過ごした相手との精神的な結びつきが、
いっそうたいせつになると思います。