1乳房の発育

 解剖学的にいえば、乳房は女性だけでなく男性にもみられる器官ですが、
男性ではそれが痕跡的であり、女性では、年齢とともに高度に発育します。

 生まれたての赤ちゃんは男の子も女の子も乳房だけをみて女性か男性か判断がつきません。
それは乳房組織が女性ホルモンの作用を得てはじめて発育しはじめるからです。

 生まれたてから8歳ぐらいまでは、乳腺の初期休止相といって、乳腺発育に何の変化もみられない時期が続きます。
この時期でも卵巣は、ごく少量の卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌しますが、
このくらいの量では乳房にも性器にも何の影響も与えられないのです。

 ところが8歳から10歳ぐらいになると、下垂体から性腺刺激ホルモンが急激に分泌されはじめます。
 この性腺刺激ホルモンの増量に比例して、卵巣の卵胞が発育し卵胞ホルモンをたくさん分泌するようになります。

今まで休止期にあった乳腺組織は発育を始めます。乳腺のとくに乳管の部分の組織分化が著明になります。

 13、4歳の思春期に入ると、卵巣の働きはいよいよ活発になり、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを交互に分泌するようになります。
 乳房は発育して外見上も成人の形態に達します。脂肪組織が多くなり、乳腺組織も発育を続け、小胞形成が著明となります。
これらのことからみると、エストロゲンは乳管と間質組織を発育させ、プロゲステロンは小胞形成を促します。