2乳房の構造

 こうして発育してきた乳房は解剖学的にみると、大きく乳腺部分-排出管部分-支持組織-乳頭部分により構成されています。

 乳腺はぶどうの房状で、それぞれの小管の先には乳汁を分泌する小胞状の腺組織のかたまりがついています。
すなわち個々の小胞は数個集まって小葉を形成し、小葉が集合すると乳腺葉となり、
左右それぞれ10から20の乳腺葉から成っています。これらが乳腺実質です。

 この腺から分泌される乳汁を集めるのは、小胞内排出管の働きです。小胞内排出管は、数十が集まって小葉内管となり、
10〜20の小葉内管が数本ずつ合流して乳頭に開口する15個の乳管となります。

乳腺小葉の間隙には血管や脂肪、リンパ管および神経が詰まっています。

 乳房の大きさや形は個人差が大きいようですが、これは乳腺組織は大差がなく、
その間隙を埋める脂肪組織と結合織の多い少ないが大きさを決定しているのです。

脂肪組織がつきはじめる思春期前から分泌されはじめる卵胞ホルモンの刺激によるものですが、
脂肪組織の原基の分布の稀多や、分布している脂肪組織のエストロゲンやプロゲステロンに対する感受性の大小は、
遺伝なども大きく影響しているようです。

だから妊娠していないときはバストが小さい女性でも、赤ちゃんに母乳を与える際のオッパイは、
みんな同じくらいの大きさになっています。
乳腺組織が目一杯活躍している証拠です。

 乳房を構成しているのはこれだけでなく。乳腺の下にある胸部の筋肉(大胸筋と小胸筋)、
肋骨の骨の筋肉(肋骨筋)、また、その筋肉の表面にあって、乳腺と結合して乳房をこんもりと盛り上げている
浅胸筋膜(せんきょうきんまく)とがあります。

 ある程度の大きさになった乳房はブラジャーなどで支えておかないと形がくずれるといわれるのは、
この筋膜と皮層の緊張力が重力に耐えられなくなるからです。